外傷性認知症研究

徳島大学医歯薬学研究部脳神経外科研究室

頭部外傷による微少出血性認知症研究

頭部に激しい打撃を受けるボクサーやアメリカンフットボールや格闘技などによる遅発性脳障害は従来考えられていたよりもはるかに多くのコンタクトスポーツで引き起こされる事が明らかになってきています。

一方、高齢者の転倒等の頭部外傷(traumatic brain injury, TBI)を契機として脳内微小出血をきたす場合があり、頭部外傷後の慢性期に認知症関連蛋白が蓄積する可能性が示唆されています。これら、腰部外傷による認知症は脳内に過剰に蓄積するtauopathy が原因と考えられるようになり、診断的な認知症の画像解析も行えるようになってきています。しかし,現在のところ外傷による脳内微小出血を介した認知症蛋白発現の機序や経時変化についての検討及び治療の方策はほとんど行われていません。

そこで、独自に外傷性脳内微少出血を模倣したモデルマウスを作製し, 認知症関連蛋白であるamyloid-b, タウ、リン酸化タウの発現の蓄積の影響による影響についての検討を行っています。再現性のある動物モデルを確立しており、急性期には認められない認知症状が発症慢性期には観察可能となっていることから、臨床へのフィードバックを目指して検討しています。

さらに、学外や学内の学部連携研究において認知症診断のみならず認知症治療に有用な方策を見出すために検討を進めています。認知症関連蛋白であるamyloid-b, タウ、リン酸化タウの蓄積については確認しており(下図)、これらの蓄積に関与するメカニズムを解明し、認知症状との関連性を明らかにし、またこれらの蓄積を制御する方策を確立するために治療薬候補の有効性をモデル動物で実証し、臨床応用への可能性を評価する予定です。

微少血液注入7日後の脳
Amyloid-b
Tau
Phospho-Tau