徳島大学医歯薬学研究部脳神経外科研究室
てんかん研究
てんかんは、脳の神経細胞が過剰な電気的興奮を引き起こすことによって生じますが、過剰な電気的興奮が生じる原因はさまざまです。当科ではてんかんの臨床研究を中心に行っています。
主なテーマは
- 発作時のMRIや脳波所見の特徴についての研究
- 周術期の適正な抗てんかん使用方法に関する研究
- てんかん手術で摘出したてんかん焦点を用いた組織学的所見についての研究
などが進行中です。
近年、他からの報告では、てんかんの一部、知的障害、自閉スペクトラム症などの患者で変異遺伝子STXBP1またはSCN2Aが欠損しており、これらの欠損マウスでは、脳皮質興奮性神経細胞の機能低下による発作などが引き起こされることから、大脳皮質から大脳基底核の抑制性神経細胞への興奮性入力の低下が発作の原因となると報告され、典型的なてんかん発作回路として示唆されています。
一方、てんかん焦点近傍で生じる白質障害部位での慢性炎症や薬剤排出トランスポーターの発現亢進がてんかん焦点に及ぼす影響や、高次脳機能障害への関与についても不明であり、てんかんあるいは高次脳機能障害への新たな治療標的としての有用性の詳細な検討が必要となります。当科でのてんかん研究は端緒に就いたばかりで不明の点が多いことから、今後、病態解明と共に有効な治療戦略を構築するための検討を継続して進める予定です。