小児神経外科領域は、成人疾患と比較し症例数が少ないため、明確な治療ガイドラインなどが確立しにくく、症例の経験や技術の取得が難しい領域です。そのため小児神経外科学会認定医は、基本的な知識・技術の修得を通して、国内における安全で標準的な小児神経外科医療を提供出来る人材の育成を目指し2016年の発足された制度です。
認定医制度のため試験はありませんが、認定医取得のためには学会発表や論文などの学術的業績、手術経験、手術以外の臨床経験を必要とします。特に手術経験では15歳以下の小児神経外科手術を10例以上(うち5歳以下を3例以上)必要とします。しかも、手術の内容としては、水頭症、先天性疾患(水頭症を除く)、外傷、その他(腫瘍、血管障害、機能外科など)の4分野のうち、3分野以上が必要で、認定医指導のもと行われた手術が対象です。
徳島大学病院では2名の認定医が在籍しています。対応している疾患は小児では頻度の多い水頭症はもちろん、二分脊椎やキアリ奇形などの先天性疾患も手術を行っています。また脳腫瘍、もやもや病や脳動静脈奇形、痙縮などに対する機能外科も行っています。関連病院に四国こどもとおとなの医療センターがあるため、認定医取得において十分な環境が整っています。
前述しましたが、小児神経外科領域は症例数が少ないため、十分な知識・技術を持った医師が少ないのが現状です。そのため時に適切な治療を受けるタイミングを逃し、障害が残ってしまう症例があることも事実です。我々は都市部と遜色のない情報・治療を提供し、また非常に希少な疾患については適切なタイミングで専門病院に治療を依頼し、子供たちが適切な治療が受けられることを目標にしています。