脳腫瘍、二分脊椎・水頭症などの先天性疾患、頭部外傷、脳血管障害、てんかん、機能などの広い領域の疾患を治療対象としています。
もやもや病や動静脈奇形などの血管障害は、髙木教授を筆頭とした脳血管障害チームと協力して行います。てんかんや機能手術も成人チームと協力し治療を行っています。
さらに専門的治療が必要となるような疾患の場合は、四国こどもと大人の医療センター(香川)や関西圏の病院へ紹介しています。
また近年注目されている乳児の頭の形については、2021年からこかわ医院と協力し治療を行っています。現在、当科外来では年間50名ほどが受診されています。
水頭症は種先天性疾患や腫瘍、囊胞性疾患に関連して生じる小児脳神経外科で最も頻度の高い病態の一つです。水頭症治療で最もよく行われているのはシャント手術です。シャント手術以外にも、月齢や病態に応じて、頭皮下に脳室カテーテルと直結するリザーバを留置し、リザーバから間歇的に脳脊髄液を穿刺排出させる方法や、最近では、病態により神経内視鏡手術を併用し、複雑な水頭症の治療も行っています。成人と比較して、感染、閉塞などの合併症が多く、機能不全による急性水頭症により重篤な状態に陥ることがあります。このような緊急のシャント機能不全にも対応致します。
脊髄髄膜瘤や脊髄脂肪腫が代表的な疾患です。胎児期に診断がついた場合は、産婦人科・新生児科と協力し、出産・出生後の治療を行っています。また、治療前後、必要に応じて当院小児科、小児外科、小児泌尿器科、徳島赤十字ひのみね総合療育センター整形外科と協力しながらフォローアップしています。
小児の脳腫瘍には髄が腫、上衣腫、胚細胞腫瘍、グリオーマなどがあります。成人の脳腫瘍と同様、ナビゲーションや神経内視鏡などの最新の機材を用いて手術を行います。術後は小児科、放射線科と協力し、化学療法・放射線治療と集学的な治療を行い良好な成績を得ています。また疾患により陽子線治療を選択する場合は関西圏の病院へ依頼もしています。
乳児期の頭蓋骨は成人と比較すると非常に柔らかく、外圧により容易に頭蓋の変形が起こります。これを位置的頭蓋変形と呼びます。頭蓋変形は正確な発生頻度は不明ですが、乳幼児早期には約40-50%の児に認められると報告されています。乳幼児突然死症候群の予防のために1992年米国小児科学会があおむけ寝を推奨しました。その後乳幼児突然死症候群の発生頻度は低下しましたが、以降頭蓋変形は増加しています。位置的頭蓋変形は生後4カ月頃が最も頻度が高く、成長とともに改善し、生後2歳頃には頭蓋変形の頻度は3.3%まで低下すると言われています。しかし、一部では頭蓋変形が残存し、そのまま変形が永続的になる場合もあります。
2000年頃より米国で赤ちゃんの頭の形に対しての意識が高まり、頭蓋形状誘導療法(以後、ヘルメット治療)が行われるようになりました。日本でも2012年に国立成育医療センターでヘルメット治療が開始され治療可能な施設が増えつつあります。徳島県ではこれまで県内で治療をすることが出来きませんでしたが、2021年6月よりこかわ医院と協力し、徳島県内でも治療が出来るようになりました。
当院では主にヘルメット治療開始前の計測や画像検査を行っています。頭蓋変形の中にはごく僅かですが頭蓋縫合早期癒合症といわれる手術を要する疾患があるため、頭部レントゲン検査で異常の有無を確認し、異常がなければヘルメット治療に進んでもらいます。またヘルメット治療を行うかどうか迷っているご家族への情報提供や、ヘルメット治療以外の治療方法の提案なども行っています。